情報学部新卒採用完全ガイド|人事担当者が知るべき学生の特徴と採用戦略

目次
近年、IT業界を中心にエンジニア不足が深刻化しています。そのため、人材確保のためにも、企業の成長戦略のためにも、将来性のある情報系学生の採用が非常に重要視されるようになっています。
しかし、「情報系学生の特性がわからない」「効果的なアプローチ方法がわからない」といった悩みを抱える人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、情報系学生の採用市場の動向から、採用を成功させるための具体的な戦略、おすすめのサービスまで、人事担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。情報系学生の採用に関する不安を解消し、優秀な人材を獲得するための具体的なアクションプランを立てる参考にしてください。
情報学部とは?
情報学部とは、情報科学、情報工学、情報システムなどの情報に関する専門知識と技術を学ぶ学部です。AI、IoT、ビッグデータなどの技術革新が進む近年では、情報系人材の需要が急速に高まっています。
情報学部で学ぶ内容、関連分野
情報学部では、多岐にわたる専門分野を学習します。まず、プログラミング言語(C、Java、Pythonなど)の習得は必須であり、これを通じてソフトウェア開発の基礎を固めます。次に、データ構造とアルゴリズムの学習では、効率的なデータ処理方法や問題解決能力を養います。データベースシステムでは、大量のデータを管理・活用するための知識を習得し、現代のデータ駆動型社会に対応できる能力を身につけます。ネットワーク技術では、インターネットや通信システムの仕組みを理解し、安全な情報通信を実現するための技術を学びます。
さらに、人工知能(機械学習、自然言語処理など)の分野では、AI技術の基礎から応用までを幅広く学習し、将来のAI社会を担う人材を育成します。情報セキュリティでは、サイバー攻撃から情報資産を守るための知識と技術を習得し、安全な情報システムの構築に貢献します。
これらの知識と技術は、IT業界だけでなく、製造業、金融業、医療など、様々な業界で活用されています。
情報学部の学生の強み、特徴
情報学部の学生は、専門的な学習を通じて、エンジニアとして必要なスキルを体系的に身につけています。
まず、プログラミングスキルは、多くの授業や課題を通じて実践的に鍛えられ、様々な開発プロジェクトに対応できる能力を養います。論理的思考力と問題解決能力は、アルゴリズムやデータ構造の学習を通じて培われ、複雑な問題に対しても筋道を立てて解決策を見つけ出すことができます。
また、情報系学生は新しい技術への関心が高く、学習意欲も旺盛です。技術の進歩が速い情報分野では、常に最新の知識を吸収し、自己研鑽を続けることが求められます。情報系学生は、大学での学習に加えて、個人的なプロジェクトや勉強会を通じて、積極的に新しい技術を学び、自身のスキルを高めています。
情報学部の採用市場

情報系学生の採用市場は、売り手市場であり、企業間の獲得競争は激化しています。
情報学部の学生の就職動向、人気企業
情報系学生の就職先としては、IT企業、インターネット企業、ゲーム企業などが人気です。これらの企業は、最先端の技術に触れる機会が多く、情報系学生の専門知識やスキルを活かせる環境が整っているためと考えられます。また、近年ではAI、ビッグデータ、セキュリティなどの分野に強みを持つ企業も人気を集めています。これらの分野は、将来性があり、社会的な影響力も大きいことが要因とされます。
人気企業の例としては、グローバル企業ではGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)など、国内大手企業では楽天グループ、サイバーエージェント、ソニーグループ、NTTデータなどが挙げられます。これらの企業の共通点として、学生が情報学部で学んだ専門知識を活かせる技術力がある、という点が挙げられます。また、柔軟で多様な企業文化や働き方も、情報系学生にとって魅力となっているようです。
情報学部の学生の採用における競争率、採用難易度
情報系学生の採用は、ほかの分野に比べて競争が激しく、採用難易度も高い傾向にあります。これは、情報系人材の需要増加、学生側の企業選択の慎重化、高度な専門知識・スキルが求められることなどが要因として挙げられます。
情報系学生は、自身の専門知識やスキルを高く評価してくれる企業を求める傾向にあり、エンジニア採用の強化に向けて、研修制度や評価制度、働き方の見直しを図る企業が増えています。
情報学部の学生の行動傾向
情報系学生の行動傾向を把握することは、効果的な採用戦略を立てるうえで非常に重要です。
学生生活、研究活動、インターンシップ
情報系学生は、学生生活のなかでプログラミングや研究活動に多くの時間を費やします。研究室での活動は、専門的な知識を深めるだけでなく、研究能力や問題解決能力を養う貴重な機会となっています。また、プログラミングコンテストへの参加は、自身の技術力を試すだけでなく、他の学生と交流し、刺激を受けるよい機会となっています。
個人開発では、自身のアイデアを形にする経験を通じて、創造性や実践力を高めることができます。学会発表では、自身の研究成果を発表し、専門家からのフィードバックを受けることで、研究能力を向上させることができます。
加えて、情報系学生はインターンシップにも積極的に参加する傾向があります。インターンシップは、企業での実務経験を通じて、自身のスキルを向上させるだけでなく、企業文化や働き方を理解するよい機会となります。インターンシップでの経験は、就職活動においても有利に働くことが多く、情報系学生にとって重要な活動となっています。
大学院進学率、就職活動の方法、主な就職先
情報系学生は、大学院進学率が高く、修士号や博士号を取得してから就職する人も多くいます。大学院では、より専門的な研究を行い、高度な知識やスキルを習得することができます。大学院での研究経験は、高度な専門知識や研究開発能力を必要とする企業や研究機関で高く評価されます。
就職活動では、インターンシップやOB/OG訪問、研究室の人脈を通じて企業研究をおこなう傾向があります。インターンシップでは、実際の業務を体験することで、企業文化や働き方を理解し、自身とのマッチングを判断することができます。OB/OG訪問では、先輩社員から企業の雰囲気や仕事内容について直接話を聞くことで、より深い企業理解を得ることができます。また、技術系イベントへの参加やポートフォリオ作成も、情報系学生の就職活動において重要な活動となっています。
近年では、研究室で培った専門性を活かした就職活動も活発です。研究室の教授や先輩からの紹介で企業との接点を持つケースや、研究室と企業との共同研究を通じてインターンシップや採用につながるケースも増えています。研究室での研究内容や成果をアピールすることで、企業側も学生の専門性やスキルを評価しやすくなり、マッチング精度を高めることができます。
主な就職先は、IT企業、インターネット企業、メーカー、金融機関など多岐にわたります。情報系学生は、自身の専門知識やスキルを活かせる企業を求めており、企業側も即戦力となる優秀な人材を求めています。
情報学部の学生の採用を成功させるポイント

情報系学生の採用を成功させるためには、彼らの特性を理解し、適切なアプローチを行う必要があります。
情報学部の学生に響く企業文化、働き方
情報系学生は、技術力やスキルを評価する企業文化や、自由な働き方を重視する傾向があります。技術力やスキルを評価する企業文化では、自身の能力を最大限に発揮し、成長できる環境を求めています。自由な働き方(リモートワーク、フレックスタイムなど)では、ワークライフバランスを重視し、柔軟な働き方を求めています。
また、情報系学生は新しい技術に触れる機会や、成長できる環境も求めています。新しい技術に触れる機会では、常に最新の技術を学び、自身のスキルを向上させたいと考えています。成長できる環境(研修制度、メンター制度など)では、自身のキャリアパスを明確にし、長期的な成長を望んでいます。
情報学部の学生に効果的なアプローチ方法(インターンシップ、イベント、SNS)
情報系学生への効果的なアプローチ方法としては、インターンシップ、ハッカソン、キャリアイベント、SNSなどが挙げられます。
インターンシップでは、実践的な経験を提供することで、企業文化や働き方を理解してもらい、入社意欲を高めることができます。ハッカソンでは、技術力をアピールするだけでなく、学生との交流を深めることで、企業の魅力を伝えることができます。キャリアイベントでは、企業文化や魅力を伝えるだけでなく、学生との個別相談を通じて、相互理解を深めることができます。SNSでは、情報発信や交流を通じて、企業の認知度を高め、学生との接点を増やすことができます。
情報学部の学生のスキル、適性を見極める評価方法
情報系学生のスキルや適性を見極めるためには、プログラミングテスト、ポートフォリオ評価、技術面接などが有効です。
プログラミングテストでは、コーディングスキルを評価するだけでなく、問題解決能力やアルゴリズム理解度も評価することができます。ポートフォリオ評価では、開発実績やスキルを評価するだけでなく、学生の興味や関心も把握することができます。面接では、技術知識、論理的思考力、コミュニケーション能力を評価するだけでなく、学生のキャリアビジョンや企業文化への適合性も確認することができます。グループディスカッションでは、チームワークや問題解決能力を評価するだけでなく、学生のリーダーシップや協調性も確認することができます。
これらの評価方法を組み合わせることで、多角的に学生のスキルや適性を見極めることが可能となります。
情報学部のある大学一覧
情報系学生の採用を成功させるためには、ターゲットとする大学を明確にすることも重要です。
偏差値上位15大学の紹介
以下に、情報学部を持つ偏差値上位15大学の例と、各大学の特徴、強み、就職実績、偏差値・主な就職先、を表にまとめます。
大学名 | 偏差値 | 特徴・強み | 主な就職先 |
名古屋大学 情報学部 | 67~72 | 情報学分野で高い評価を受ける国立大学。AI、IoT、ビッグデータなどの先端分野に強みを持ち、産学連携も盛ん。 | トヨタ自動車、NTTデータ、ソニー、Google、アクセンチュアなど |
慶應義塾大学 環境情報学部 | 65 | 情報技術と環境問題の融合を学ぶ学部。文理融合のカリキュラムで、多様な分野を横断的に学習。 | Google、Amazon、楽天、アクセンチュア、博報堂など |
名古屋大学 情報文化学部 | 62~65 | 文理融合の学部であり、人文・社会科学と情報学を組み合わせた教育・研究を行う。メディア、コンテンツ、コミュニケーション分野に強み。 | Google、Yahoo! JAPAN、任天堂、NHK、TBSテレビなど |
明治大学 情報コミュニケーション学部 | 64 | 情報技術とコミュニケーションの専門家を育成。社会情報学、メディア学、心理学など、幅広い分野を学習。 | NTTドコモ、KDDI、富士通、サイバーエージェント、講談社など |
広島大学 総合科学部 | 63 | 文理融合の学部であり、幅広い学問領域を横断的に学ぶことができる。情報科学、認知科学、社会科学などを融合した研究。 | マツダ、三菱電機、日本マイクロソフト、広島県庁、広島市役所など |
青山学院大学 社会情報学部 | 61 | 社会科学と情報技術の融合を学ぶ学部。データサイエンス、情報システム、社会調査などを学習。 | Google、Amazon、楽天、アクセンチュア、デロイトトーマツコンサルティングなど |
同志社大学 文化情報学部 | 61 | 文化と情報技術の融合を学ぶ学部。文化、芸術、歴史などの人文科学と情報学を組み合わせた研究。 | 任天堂、カプコン、バンダイナムコエンターテインメント、NHK、読売新聞社など |
大阪府立大学 現代システム科学域 知識情報システム学類 | 61 | 情報科学、システム科学、人間科学を融合した教育・研究を行う。AI、データサイエンス、システムデザインなどを学習。 | パナソニック、シャープ、キーエンス、NTTデータ、日本IBMなど |
筑波大学 情報学群 情報メディア創成学類 | 60 | 情報メディア分野の専門家を育成。メディアデザイン、コンテンツ制作、インタラクションデザインなどを学習。 | サイバーエージェント、LINE、DeNA、NHK、フジテレビジョンなど |
筑波大学 情報学群 情報科学類 | 60 | 情報科学の専門家を育成。プログラミング、アルゴリズム、データベースなどを学習。 | Google、Amazon、楽天、NTTデータ、富士通など |
横浜国立大学 都市科学部 | 60~69 | 都市科学の専門家を育成。都市計画、都市情報、都市環境などを学習。 | 鹿島建設、大成建設、野村不動産、Google、Yahoo! JAPANなど |
電気通信大学 情報理工学域 | 60~64 | 情報理工学の専門家を育成。情報通信、コンピュータサイエンス、システム工学などを学習。 | NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、富士通、NECなど |
静岡大学 情報学部 | 56~61 | 社会情報、行動情報、情報科学の3つの専門分野がある。AI、データサイエンス、認知科学などを学習。 | ヤマハ、ローランド、静岡銀行、静岡県庁、静岡市役所など |
※偏差値、在籍学生数、院進学率、就職率などのデータは年度によって変動するため、最新の情報を各大学の公式サイトでご確認ください。
情報学部の学生の採用におすすめのサービス
情報系学生の採用を支援するサービスは数多く存在します。
情報学部学生に強い就職サイト、イベント、サービス
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情報学部学生の採用に強いエージェント
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【番外編】その他、情報学部の学生の採用に活用できるサービス
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情報学部の学生の採用に役立つ書籍
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まとめ
情報系学生の特性や採用市場の動向、採用を成功させるための具体的な方法、おすすめのサービス、役立つ書籍など、人事担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説しました。
情報系学生は、高い専門性と学習意欲を持つ優秀な人材です。情報系学生を採用することが、企業の未来を左右する重要な戦略にもなります。彼らの強みを理解し、適切なアプローチを行うことで、企業は競争優位性を確立し、成長を加速させることができます。この記事を参考に、情報系学生の採用戦略を立案し、優秀な人材を獲得してください。

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