採用広告における法的規制は?NGワードや禁止表現、注意点を解説

目次
人材採用の現場で、優秀な人材を惹きつける魅力的な広告を作成することは非常に重要です。しかし、採用広告には様々な法的規制が存在し、不適切な表現を使用してしまうと、思わぬトラブルを引き起こす可能性があるのをご存知でしょうか。
当記事では、採用広告における法的規制について紹介します。NGワードや禁止表現についても解説するので、ぜひご覧ください。
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採用広告における法的規制

採用広告を作成する際には、さまざまな法的規制を遵守しなければいけません。これらの規制は、労働者の権利を保護し、公正な雇用機会を提供するために設けられています。
次の項目では採用広告における法的規制について解説するので、ぜひご覧ください。
労働基準法
採用広告においては、労働基準法に基づく規制を遵守することが不可欠です。この法律は、労働者の権利保護を目的とし、労働条件の最低限の基準を定めています。
具体的には労働時間や休暇、賃金などが労働基準法に則ったものになっていなければいけません。
例えば、労働時間については1日8時間、週40時間を守られているかどうか、残業代が通常の賃金の25%以上増しで支払われているかなど労働基準法に遵守しているかが重要です。
労働基準法が守られていない場合、労働者との間でトラブルが発生する可能性があるため注意しましょう。
雇用対策法
雇用対策法は、労働市場における雇用の安定と促進を目的とした法律です。この法律は、企業が採用広告を作成する際に遵守すべき重要な規制を定めています。
特に雇用対策法では、求人情報の提供において差別的な表現を避けることが求められており、性別や年齢、障害の有無などに基づく不当な差別を助長する表現をしてはいけません。
また、雇用対策法は、求人情報の透明性を確保するために、企業が求める人材の条件や職務内容を正確に記載することを義務付けています。
最低賃金法
最低賃金法は、労働者が受け取る賃金の最低限度を定める法律です。この法律に基づき、企業は労働者に対して最低賃金以上の報酬を支払う義務があります。
採用広告においては、提示する給与が最低賃金を下回っている場合、法的な問題が生じる可能性が高いので、賃金の設定には気を配るようにしましょう。
また、地域ごとに異なる最低賃金が設定されているため、広告を作成する際には該当する地域の最低賃金を確認し、それに準じた表現を行うことが重要です。
職業安定法
職業安定法は、労働者の職業選択の自由を保障し、雇用の安定を図ることを目的とした法律です。この法律に基づき、採用広告には求人情報の内容が正確であること、虚偽の情報を提供しないことが求められます。
また、職業安定法では、求人の際に差別的な表現を使用してはいけません。採用広告を作成する際には、職業安定法の規定を遵守することが重要であり、違反した場合には罰則が科される可能性もあるため、注意が必要です。
男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法は、男女が平等に雇用されることを目的とした法律であり、採用広告においてもその遵守が求められます。この法律は、性別に基づく差別を禁止し、男女が同等の機会を持つことを保障しているのが特徴です。
具体的には、採用広告において性別を限定する表現や、特定の性別を優遇するような内容は一切行ってはいけません。
例えば「男性歓迎」や「女性限定」といった表現は、男女雇用機会均等法に抵触する可能性があります。
採用広告のNGワードと禁止表現

採用広告を作成する際には、特定のNGワードや禁止表現にも注意しましょう。これらの表現は、法的な問題を引き起こすだけでなく、企業のイメージにも悪影響を及ぼす可能性があります。適切な表現を用いて、採用広告を運用しましょう。
性差別的な表現
採用広告において性差別的な表現は厳しく規制されており、性別に基づく不当な差別を助長するような言葉やフレーズは使用してはいけません。
例えば「男性を優遇する」や「女性は家庭を優先すべき」といった表現は、明らかに性別に基づく偏見を含んでおり、法的な問題を引き起こす可能性があります。
また、性別に関する条件を明示すること自体が不適切とされる場合もあるでしょう。採用広告では、応募者の能力や経験に基づいて評価することが求められ、性別に関する情報は一切関与させるべきではありません。
これに違反すると、企業のイメージを損なうだけでなく、法的な責任を問われることにも繋がります。
したがって、採用広告を作成する際には、性差別的な表現を避け、全ての応募者に対して平等な機会を提供する姿勢を示すことが重要です。これにより、より多様な人材を惹きつけることができ、企業の成長にもつながるでしょう。
年齢差別表現
採用広告において年齢差別的な表現は厳しく規制されています。具体的には、特定の年齢層を対象にした募集をしたり、年齢に基づく条件を明示したりしてはいけません。
もっと具体的な例を挙げると「20代の方歓迎」といった表現は、年齢による差別を助長するため避けるべきです。
また、年齢に関する情報を求める際も必要最低限に留めておきましょう。これにより、より多様な人材を受け入れる環境を整えることができ、法的トラブルを未然に防げます。
実態と異なる条件の記載
採用広告において、実態と異なる条件を記載することは、法的に大きな問題を引き起こす可能性があります。
例えば給与や勤務時間、福利厚生などの具体的な条件を誇張したり、実際には提供されない待遇を記載したりすることは、求職者に対して誤解を招く原因となります。
このような行為は求職者の信頼を損なうだけでなく、労働基準法や職業安定法に抵触する恐れがあるので、絶対にやめましょう。
また実態と異なる条件を記載した場合、採用後にトラブルが発生することも考えられます。
実際、入社後に提示された条件と実際の条件が異なることが判明し、求職者が不満を抱き、最終的には離職に繋がったケースがありました。このような事態を避けるためにも、採用広告には正確な情報を記載することが求められます。
求職者との信頼関係を築き、長期的な雇用関係を促進していきましょう。
特定の人物を差別・優遇する表記
採用広告において特定の人物を差別または優遇する表記は、法的な問題に触れてしまう可能性が高いでしょう。例えば、特定の性別や年齢、出身地、学歴などに基づいて応募者を選別するような表現は、差別的と見なされる可能性もあります。
また、特定の人物を優遇する表記も同様に注意が必要です。例えば、「特定の大学卒業者を優遇」といった表現は、他の応募者に対して不公平感を与え、結果的に企業のイメージを損なわれる可能性があるでしょう。
採用広告は多様性を尊重し、すべての応募者に対して公平な機会を提供することが求められます。
NGワードや禁止表現を記載するとどうなる?

採用広告においてNGワードや禁止表現を使用すると、企業にとってさまざまなリスクが伴います。まず、法的な問題が発生する可能性が高まるでしょう。
性差別的な表現や年齢差別表現を含む広告は、男女雇用機会均等法や雇用対策法に抵触する恐れがあり、これにより罰則や訴訟を招くことがあります。
また、企業のイメージやブランド価値にも悪影響を及ぼすことも忘れてはいけません。不適切な表現が含まれた広告は、求職者からの信頼を失い、優秀な人材を逃す原因となるでしょう。
結果として、採用活動が思うように進まなくなる可能性もあるため注意が必要です。
採用広告に記載する内容における注意点

採用広告を作成する際には、記載内容に関していくつかの重要な注意点があります。ここからは、採用広告に記載する内容における注意点について紹介するので、これらの注意点を守って、信頼性の高い採用広告を作成しましょう。
固定残業代の表記方法
採用広告において固定残業代を記載する際には、明確かつ正確な表現が求められます。固定残業代とは、一定の残業時間を想定して支給される賃金のことで、労働者にとってはその内容を理解することが重要です。
広告においては、固定残業代の具体的な金額や、どの程度の残業時間を含んでいるのかを明示しておきましょう。
例えば「月給30万円(固定残業代含む)」と記載する場合、固定残業代が何時間分であるかを明記することで、求職者に誤解を与えない工夫が可能です。これにより、労働条件の透明性が確保され、トラブルを未然に防ぐことができます。
著作権侵害
採用広告を作成する際には、著作権に関する法律を遵守することが不可欠です。特に、他者が著作権を持つ画像や文章を無断で使用することは、著作権侵害に該当します。
これにより、法的なトラブルが発生する可能性があり、企業の信頼性にも影響を及ぼすこともあるでしょう。例えば、採用広告に意図せず他社の商品ロゴやキャラクターグッズが写ってしまった場合、著作権者からの訴訟を受けるリスクが高まります。
また、著作権侵害は単なる金銭的な損失だけでなく、企業のブランドイメージを損なう要因にもなり得るでしょう。そのため、採用広告に使用する素材は、自社で制作したものか、適切なライセンスを取得したものを使用することが重要です。
避けるべき広告表現・ワード

採用広告を作成する際には、避けるべき表現やワードがいくつか存在します。ここからは、避けるべき広告表現・ワードについて紹介するので、企業の信頼性を損なう原因にならない採用広告を心がけましょう。
抽象的な表現
採用広告において抽象的な表現を使用することは避けるべきです。具体的な情報が不足していると、求職者に対して誤解を招く可能性があります。
例えば「やりがいのある仕事」や「成長できる環境」といった表現は、具体的な内容が伴わない限り、求職者に伝わりません。
具体的な業務内容や職場の雰囲気を明示し、より多くの応募者に対して正確な情報を提供することが大切です。
精神論を想起させる表現
採用広告において、精神論を想起させる表現は避けましょう。例えば「根性があれば成功する」「努力すれば必ず報われる」といったフレーズは、具体的な業務内容や求めるスキルを示さず、応募者に誤解を与える可能性があります。
このような表現は、実際の職務に必要な能力や条件を明確に伝えず、応募者の期待を裏切る結果となることが多いです。したがって、採用広告では具体的な業務内容や求めるスキルを中心に据え、精神論に依存しない表現を心掛けましょう。
まとめ
採用広告を作成する際には、法的規制を十分に理解し、遵守することが不可欠です。労働基準法や雇用対策法、最低賃金法、職業安定法、男女雇用機会均等法など、さまざまな法律が採用広告に影響を与えます。
これらの法律に違反すると、企業は法的なトラブルに巻き込まれる可能性があるため、注意しながら採用広告を作成しましょう。
また、NGワードや禁止表現を避けることも重要です。性差別的な表現や年齢差別表現、実態と異なる条件の記載は、企業の信頼性を損なうだけでなく、法的な問題を引き起こすこともあるため注意が必要です。

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