新卒・中途採用で採用ミスマッチが起こる原因は?対策・防止方法を解説

目次
採用ミスマッチは、企業と求職者の双方に大きな損失をもたらす深刻な問題です。採用ミスマッチを防ぐには採用対象ごとの特性を踏まえ、適切な対策を講じることが極めて重要となります。
当記事では、採用ミスマッチが起こる原因と対策について紹介します。採用ミスマッチのデメリットや増加する背景についても解説するので、ぜひご覧ください。
採用ミスマッチの現状

厚生労働省の公開する「新規学卒就職者の離職状況」によると、令和3年の大卒就職者の3年以内離職率は34.9%となっています。前年から、2.6ポイント上昇しており、採用ミスマッチが増加しているのが現状です。
ミスマッチは、内定辞退や早期離職を引き起こし、企業にとっては貴重な人材を失うリスクを伴います。そのため、企業は求職者のニーズを正確に把握し、双方にとって満足のいくマッチングを実現するための取り組みが求められていると言えるでしょう。
引用:新規学卒就職者の離職状況
採用ミスマッチが増加する背景

採用ミスマッチが増加する背景には、転職希望者の増加があります。厚生労働省の公開する「転職者等希望者の推移」では、男女ともに2018年ごろから転職希望者が増加しており、転職ブームが止まる気配はありません。
数十年前は一度入社したら定年まで同じ企業で働き続けることが一般的でしたが、現在は企業と求職者の間でミスマッチが発生すると、すぐに転職してしまうことも珍しくありません。
求職者の転職に対する抵抗感がなくなりつつある現在においては、以前よりもマッチングの精度を高くすることが求められています。
採用ミスマッチのデメリット

ここからは、採用ミスマッチのデメリットについて紹介します。
内定辞退や早期離職のリスクが高まる
採用ミスマッチが発生すると、内定辞退や早期離職のリスクが大幅に高まります。求職者が企業の実態と異なる情報をもとに入社を決定した場合、入社後に期待と現実のギャップを感じることが多くなるでしょう。
このギャップは、特に職場環境や業務内容に関する認識の齟齬から生じることが多く、結果として求職者が早期に退職を選択する要因となります。
企業側にとって内定辞退や早期離職は人材確保の難易度を高め、採用活動の効率を低下させるため、採用ミスマッチを防ぐことが重要です。
企業イメージが悪化する
採用ミスマッチが発生すると、企業のイメージに悪影響を及ぼすことがあります。最近はネットで企業の口コミを調べる求職者が多いため、内定辞退や早期離職が続くとネガティブな口コミが広まってしまう恐れがあるでしょう。
たとえ求職者が口コミを調べなくても、SNSから悪評を耳にしてしまう可能性もあります。優秀な人材を確保するためには、企業の良好なイメージを維持することが不可欠です。
採用コストを損失する
人材を採用する際には人事や面接官の人件費、教育人件費などのコストがかかります。採用ミスマッチが発生して人材が早期退職した場合、採用活動にかけた時間やリソースが無駄になってしまいます。
採用した人材が生み出した利益よりも、早期退職による損失の方が大きくなってしまう場合もあり、企業にとって採用ミスマッチは大きな損失に繋がる可能性があります。
追加人員の採用や教育にコストがかかる
採用ミスマッチが発生した場合、追加人員の採用や教育にコストがかかってしまいます。新たな候補者を探し、面接を行い選考を進める過程は、企業にとって大きな負担になってしまうでしょう。
特に業務に必要なスキルや知識を身につけるための教育プログラムは、短期間で効果を上げることが難しく、長期的な投資が求められます。
採用ミスマッチが発生する原因

ここからは、採用ミスマッチが発生する原因について紹介します。あらかじめ原因を把握しておきたい方は、ぜひご覧ください。
企業情報の発信が不足している
採用ミスマッチの一因として、企業情報の発信が不足していることが挙げられます。自社の魅力や文化、業務内容について十分に発信しないと、求職者は企業の実態を正確に把握できません。
企業情報の発信不足は、求職者が企業に対して持つ期待と実際の職場環境とのギャップを生む原因となります。
企業のメリットばかり発信している
採用活動において、企業が自社のメリットや魅力を強調することは重要ですが、それだけでは採用ミスマッチを防ぐことはできません。求職者は企業の良い面だけでなく、実際の職場環境や業務内容、社風なども知りたいと考えています。
都合の悪い情報を隠してしまうと、かえって内定辞退や早期離職に繋がってしまうでしょう。企業は求職者が求める情報をしっかりと把握し、透明性のある情報を発信することを心がけることが重要です。
候補者へのヒアリングが不足している
候補者へのヒアリングが不足していると、採用ミスマッチが発生する可能性があります。企業側が求めるスキルや経験を重視するあまり、候補者の希望や価値観を十分に理解しないまま採用を進めてしまうケースが多く見受けられます。
このような状況では、入社後に候補者が自分の期待と現実のギャップに悩むことになり、早期離職のリスクが高くなってしまうでしょう。
どのような採用チャネルを用いたとしても、候補者へのヒアリングに十分な時間をかけてニーズや希望を聞いておくことが重要です。
入社後のサポートが不足している
新入社員は企業に入社して、すぐに企業文化や業務に馴染めるわけではありません。
新入社員へのサポートが不足すると、期待していた業務内容や職場環境と実際の状況にギャップを感じさせてしまう恐れがあるので、入社後にサポートできる体制を整えておきましょう。
具体的には業務に関する研修やメンター制度を導入することで、社員がスムーズに業務に適応できる環境を整えることができます。
新卒で採用ミスマッチに繋がる要因

ここからは、新卒で採用ミスマッチに繋がる要因について紹介します。新卒採用で人材を確保しようと考えている方はぜひご覧ください。
学歴や印象だけで採用している
新卒採用では、学歴や第一印象だけを重視する傾向があります。企業は特定の大学や学部出身者を優遇することで、一定のスキルや知識を持っていると判断しがちです。
学歴や印象は人物を評価する1つの指標に過ぎず、実際の業務における適性や人間性を見落とす危険性があるため、より多角的な評価基準を設けるようにしましょう。
配属部署に適正がない
企業文化や風土が求職者にマッチしていても、適性のない部署に配属してしまうと早期離職を招く可能性があります。また、配属後に適性がないことが明らかになると、本人だけでなくチーム全体の業務の進捗にも悪影響を及ぼすこともあるでしょう。
このような事態を避けるためには、採用時に候補者の適性を見極めることが不可欠です。
中途採用で採用ミスマッチに繋がる要因

ここからは、中途採用で採用ミスマッチに繋がる要因について紹介します。中途採用で人材を確保しようと考えている方はぜひご覧ください。
スキルと経験だけで採用している
中途採用においてスキルや経験は重要な評価基準ですが、それだけに依存することは採用ミスマッチを引き起こす要因となります。
求職者の過去の職務経験や専門的なスキルが企業のニーズに合致している場合でも、職場の文化やチームとの相性が合わないことがあるので注意しましょう。
スキルや経験だけでなく、求職者の価値観や志向性も考慮することが重要です。
中途採用者が活躍しにくい風土が形成されている
中途採用者が企業に入社した際、既存の社員との文化や風土の違いから、活躍しにくい状況が生まれることがあります。
特に長年同じメンバーで運営されているチームでは、新しい視点やアプローチを受け入れる余裕がない場合が多く、これが中途採用者のパフォーマンスに影響を及ぼします。
さらに、既存の社員が持つ暗黙のルールや業務の進め方に慣れていない中途採用者は、最初の段階で戸惑いを感じることが多く、結果として退職してしまうことも少なくありません。
入社前の採用ミスマッチの対策・防止方法

ここからは、入社前にできる採用ミスマッチの対策・防止方法について紹介します。ミスマッチを防止したいなら、以下の7つを意識しましょう。
・企業情報を開示する
・採用基準を明確にする
・インターンシップを実施する
・リファラル採用を実施する
・カジュアル面談を実施する
・適性検査を実施する
・リファレンスチェックを実施する
企業情報を開示する
採用ミスマッチを防ぐためには、企業情報の透明性を高めることが不可欠です。求職者は、企業の文化や価値観、業務内容を理解することで、自身がその環境に適応できるかどうかを判断します。
したがって、企業は自社のビジョンや職場の雰囲気、具体的な業務内容を積極的に発信する必要があるでしょう。
採用基準を明確にする
採用ミスマッチを防ぐためには、企業が採用基準を明確に設定することが大切です。具体的には求めるスキルや経験、人物像を詳細に定義し、求人票や面接時にこれらに当てはまる求職者かどうかを判断しましょう。
これにより自社とマッチする人材を見極めることができ、採用ミスマッチのリスクを大幅に軽減することが可能となります。
インターンシップを実施する
インターンシップは、企業と求職者の双方にとって非常に有益な手段です。特に新卒採用においては、学生が実際の業務を体験することで、企業の文化や業務内容を理解してもらいやすいでしょう。
これにより、入社後のミスマッチを防ぐことが可能です。また、企業側も学生の実際の働きぶりを観察することで、適性やスキルを見極めることができます。
リファラル採用を実施する
リファラル採用とは、企業が従業員の知人や友人を通じて新たな人材を採用する手法のことを指します。
リファラル採用は企業文化や職場環境を理解している社員が推薦するため、候補者と企業とのミスマッチを減少させる効果が期待できるでしょう。
推薦する社員はその人のスキルや性格、働き方についても詳しく把握しているので、より具体的な情報をもとに採用するかを判断できます。
カジュアル面談を実施する
カジュアル面談は、求職者と企業の双方がリラックスした雰囲気で話し合いを行う面談方法のことです。この形式の面談は、従来の堅苦しい面接とは異なり、求職者が自分の考えや希望を自由に表現できる場となります。
企業側も候補者の人柄や価値観をより深く理解することができるため、採用ミスマッチを防ぐための有効な手段になるでしょう。
また、カジュアル面談を通じて、求職者は企業文化や職場の雰囲気を直接感じることができ、入社後のギャップを減少させることが期待できます。
適性検査を実施する
適性検査とは、企業が応募者の能力や性格、人柄などを評価するために実施するテストのことです。適性テストを導入することで、スキルや経験だけでなく、候補者の価値観まで幅広く理解することができます。
これによって企業文化に合った人材を見極めやすくなり、入社後のミスマッチを減少させる効果が期待できるでしょう。
また、適性検査は候補者にとっても自分自身の強みや弱みを知る良い機会となり、入社後のキャリア形成に役立つ点も大きな魅力です。
リファレンスチェックを実施する
リファレンスチェックとは、採用プロセスにおいて候補者の過去の職務経験や人物像を確認するための手法のことです。
リファレンスチェックを実施すれば、候補者が実際にどのような働き方をしていたのか、どのような評価を受けていたのかを把握することができます。
特に中途採用においては、候補者のスキルや経験だけでなく、職場での適応能力やチームとの相性も重要な要素です。リファレンスチェックを実施することで、採用ミスマッチのリスクを軽減し、より適切な人材を見極めることが可能になるでしょう。
入社後の採用ミスマッチの対策・防止方法

ここからは、入社後に配属先や担当業務でミスマッチがあった際の対策・防止方法について紹介します。
メンター制度を導入する
メンター制度は、先輩社員が新入社員に対して、相談や面談を行う制度のことです。メンター(先輩)との定期的なコミュニケーションを通じて、新入社員は疑問や不安を解消しやすくなり、早期の離職を防ぐ効果が期待できます。
また、メンター制度は新入社員だけでなく、メンター役の社員にとっても成長の機会となります。指導することで自身の知識やスキルを再確認し、リーダーシップを育むことができるため、組織全体の活性化も期待できるでしょう。
社員の異動希望を受け入れる
社員の異動希望を受け入れることは、配属先や担当業務でミスマッチがあったときの有効な手段です。大前提として、入社後に自分の適性や興味に合った部署で働きたいと考える社員は多く、異動を希望することは自然なことです。
企業がこの希望を尊重し、柔軟に対応することで、社員のモチベーションや満足度を向上させることができるでしょう。
また、異動を受け入れれば社員が持つスキルや経験を活かすことができ、組織全体のパフォーマンス向上にも繋がります。
まとめ
採用ミスマッチは、企業と求職者の双方にとって避けるべき重大な問題です。
ミスマッチが発生する原因は多岐にわたりますが、企業が適切な情報発信や候補者へのヒアリングを行うことで、そのリスクを大幅に軽減することができるでしょう。
また、入社後のサポート体制を整えることも早期離職を防ぐために重要です。当記事を参考にして、採用ミスマッチの防止に繋げていきましょう。

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