リファレンスチェックとは?メリットや質問内容、注意点を解説
目次
リファレンスチェックは、採用におけるミスマッチの防止策として注目されています。しかし、日本企業にとってはまだ馴染みの薄い手法でメリットや実施方法が分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、リファレンスチェックの概要やメリット、実施タイミングから注意点まで幅広く解説します。ぜひ当記事の内容を参考に、導入を検討してみてください。
リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックとは、採用プロセスにおいて候補者の過去の職務経験や人物像を確認するための手法のことです。具体的には、候補者が以前に勤務していた企業や上司、同僚などに連絡を取り、彼らの意見や評価を収集します。
リファレンスチェックは、単なる前職調査とは異なり、候補者の職務に対する姿勢やチームでの協調性など、より深い情報を得ることができることも特徴です。これにより、企業はより良い人材を採用するための判断材料を得ることができます。
リファレンスチェックの概要
ここからはリファレンスチェックと前職調査の違い、目的や実施タイミングなどの概要について紹介します。
前職調査の違いとは?
リファレンスチェックと前職調査は、候補者の過去の職務経験を確認するための手段ですが、その目的やアプローチには明確な違いがあります。
前職調査は、主に候補者が過去に勤務していた企業の情報を確認することに重点を置いているのが特徴で、雇用期間や職務内容、給与などの事実確認が中心です。
一方、リファレンスチェックは候補者の人柄や職務遂行能力を評価するために、前職の上司や同僚からの意見を収集することが主な目的なので、根本的なアプローチが異なっています。
リファレンスチェックの目的
リファレンスチェックの主な目的は、候補者の過去の職務経験や人柄を確認し、採用の判断材料とすることです。具体的には、候補者が履歴書や職務経歴書で述べた内容が実際に正しいかどうかを検証します。
リファレンスチェックを実施すれば採用後のミスマッチを防ぎ、企業にとって適切な人材を見極める手助けになるでしょう。また、候補者の業務に対する姿勢やチームでの協調性、問題解決能力なども把握することができ、より総合的な評価が可能になります。
リファレンスチェックを実施するタイミング
リファレンスチェックは、実施タイミングが非常に重要です。一般的には候補者が最終面接を通過した後、内定を出す前に行うことが推奨されています。
このタイミングで実施すれば、候補者の過去の職務経験や人柄についての客観的な情報を得ることができ、採用のミスマッチを防ぐことができるでしょう。
リファレンスチェックを担当する人物
リファレンスチェックは、一般的に人事部門の担当者や採用担当者が行います。
これらの担当者は候補者の実情を理解し、リファレンスチェックの目的を明確にすることが求められます。また、推薦者とのコミュニケーション能力が高いことも重要です。
部門のマネージャーやチームリーダーが対応する場合は、実際の業務に関連した質問を行うことで、より具体的な情報を得ることができます。
リファレンスチェックを実施するメリット
リファレンスチェックは候補者の過去の実績や人柄を第三者の視点から確認することで、書類選考や面接だけでは把握しきれない情報を得ることができます。
以下では、リファレンスチェックを実施する具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
採用のミスマッチを防げる
リファレンスチェックは、採用プロセスにおいて候補者の適性を確認するための重要な手段です。候補者が過去にどのような業務を行い、成果を上げてきたのかを把握することで、企業が求めるスキルや文化に合った人材を見極めることができるでしょう。
また、採用後のミスマッチを未然に防ぎ、長期的な雇用関係を築くための基盤を整えることも可能です。リファレンスチェックを通じて得られる情報は、候補者の実際の勤務状況や人柄を知る手助けとなり、よりな判断を下すための材料となります。
採用の効率化を図れる
リファレンスチェックを実施すれば、採用プロセスの効率化が期待できます。具体的には候補者の過去の業務経験やスキルを確認することで、面接だけでは見えにくい情報を得ることができるでしょう。
これによって候補者の適性をより正確に判断できるため、無駄な面接を減らすことが可能です。また、リファレンスチェックを通じて、候補者の人物像や職場での振る舞いを把握し、チームとの相性を見極める手助けにもなります。
コーポレートガバナンスを強化できる
リファレンスチェックは、企業のコーポレートガバナンスを強化する重要な手段です。適切な人材を採用することは企業の健全な運営に直結します。リファレンスチェックは人材に関連した不祥事を防ぐための、有効な手段と言えるでしょう。
また、候補者の過去の業務実績や職場での行動を確認すれば、企業文化に合った人材を見極めることができます。結果として、企業全体のガバナンスが強化され、持続可能な成長を支える基盤が築かれるのです。
入社後のスムーズな支援が可能
リファレンスチェックを実施すると、候補者の入社後における支援がよりスムーズになります。具体的には候補者の過去の職務経験や人柄を把握することで、どのようなサポートが必要かを事前に理解することが可能です。
また、入社初日から適切な指導や支援を行うことができ、早期に職場に馴染む手助けもできるようになるでしょう。
リファレンスチェックを通じて得た情報を基に、チームメンバーとの相性や役割分担を考慮した配置を行うことができるため、組織全体のパフォーマンス向上にも寄与します。
リファレンスチェックの実施方法
リファレンスチェックは、主に書類形式と面接形式の2つの方法で実施されます。それぞれの方法には特徴があり、企業のニーズや状況に応じて選択することが重要です。
次の項目で特徴を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
書類形式
リファレンスチェックの書類形式は、効率的かつ体系的に情報を収集する手段として広く利用されているのが特徴です。この方法ではあらかじめ作成した質問票を推薦者に送付し、記入してもらうことで回答を得ます。
書類形式の利点は、推薦者が自分のペースで回答できるため、より正確で詳細な情報を引き出しやすいという点でしょう。また、複数の推薦者から同様の形式で情報を集めれば、比較が容易になり、候補者の全体像を把握しやすくなります。
面接形式
リファレンスチェックの面接形式は、より深い対話を通じて情報を収集する方法です。この形式では、採用担当者が推薦者と直接対話し、候補者に関する具体的な質問を行います。
面接形式の利点は、即座に追加の質問を行ったり、推薦者の反応を観察したりできるという点でしょう。これにより、書類形式では得られないニュアンスや詳細な情報を引き出すことが可能になります。
リファレンスチェックの流れ
リファレンスチェックを実施する際には、いくつかのステップを踏む必要があります。全体の流れをしっかりと把握することで、効果的なリファレンスチェックが実施できるので、実施前に流れを確認しておきましょう。
1.候補者にリファレンスチェックの同意を得る
2.推薦者の連絡先を確認する
3.リファレンスチェックの日程を決める
4.推薦者への質問内容をまとめる
5.リファレンスチェックを実施する
6.回答内容を採用関係者と共有する
候補者にリファレンスチェックの同意を得る
まずは、候補者からの同意を得るようにしましょう。この同意は候補者が推薦者に連絡を取ることを許可するものであり、プライバシーの観点からも重要なプロセスです。
候補者に対してリファレンスチェックの目的や内容を明確に説明し、安心感を与えるように心がけましょう。
また、候補者が推薦者を選ぶ際の意向を尊重し、信頼できる人物を選んでもらうよう促すことも重要です。
推薦者の連絡先を確認する
候補者に対して推薦者の名前や役職、連絡先電話番号やメールアドレスを確認します。
また、連絡先情報以外にも推薦者が現在もその職場に在籍しているか、または過去にどのような関係があったのかを確認することも大切です。これにより、リファレンスチェックの信頼性を高め、より正確な情報を得ることができます。
リファレンスチェックの日程を決める
推薦者の連作先を確認したら、候補者と推薦者の両方の都合を考慮しつつ、リファレンスチェックの日程を決めましょう。
候補者にとっては、推薦者に連絡を取るための時間を確保する必要があり、推薦者にとっても、業務の合間にリファレンスチェックに応じることができる時間帯を選ぶようにしてください。
また、日程を決める際には、リファレンスチェックの目的や内容を事前に説明し、推薦者が安心して回答できる環境を整えることも重要です。日程の調整は、候補者と推薦者の双方にとって、負担にならないよう配慮しながら進めることが成功の鍵となります。
推薦者への質問内容をまとめる
リファレンスチェックの日程が決まったら、推薦者に対してどのような質問を行うかを事前にしっかりとまとめておきましょう。
質問内容は、候補者の職務遂行能力や人柄を把握するためのものであり、具体的かつ明確である必要があります。一般的には、勤務状況や業務実績、チームでの協働性、問題解決能力などに関する質問を行うことが多いです。
また、候補者の強みや改善点についても尋ねることで、より多角的な評価が可能となるでしょう。
リファレンスチェックを実施する
すべての準備が整ったら、推薦者に対してリファレンスチェックを実施しましょう。質問は事前にまとめた質問内容を基にしつつ、候補者の勤務状況や業務実績、人柄に関するもので、具体的なエピソードを引き出すことが望ましいです。
回答内容を採用関係者と共有する
リファレンスチェックを実施した後は、得られた回答内容を採用関係者としっかりと共有することが重要です。このプロセスにより、候補者の適性や職務に対する適正をより深く理解することができます。
推薦者からのフィードバックを整理し、参照できる形式でまとめることで回答内容に基づいて候補者の強みや改善点を明確にし、最終的な採用判断に役立てることができます。
リファレンスチェックでの質問内容
リファレンスチェックを行う際には、候補者の過去の勤務状況や人物像、業務実績に関する具体的な質問を用意することが重要です。
質問内容は、候補者の職務に関連するスキルや経験を深く掘り下げることを目的としているので、次の項目を参考に適切な質問を用意しましょう。
勤務状況
リファレンスチェックにおいて、候補者の勤務状況を確認することは非常に重要です。候補者が前職でどのような役割を果たしていたのか、勤務態度や出勤率、業務に対する責任感などを質問しましょう。
これにより、候補者が実際にどのように職務を遂行していたのかを把握し、企業文化やチームに適合するかどうかを判断する材料となります。
人物像や人柄
リファレンスチェックでは、候補者の人物像や人柄を把握しておきましょう。具体的には、候補者がチーム内でどのようにコミュニケーションを取るか、協調性やリーダーシップの資質があるかどうかを確認します。
また、過去の職場での人間関係やストレスへの対処法なども評価のポイントです。
業務実績やスキル
リファレンスチェックでは、候補者の業務実績やスキルを確認することも大切です。候補者が過去にどのようなプロジェクトに関与し、どのような成果を上げたのか質問しましょう。
また、専門的なスキルや知識、業務に対する理解度についても推薦者に確認を取るようにしてください。これにより、候補者が実際に業務を遂行する能力や、企業のニーズにどれだけマッチしているかを判断する材料となります。
リファレンスチェックを実施するときの注意点
リファレンスチェックを行う際には、いくつかの注意点があります。注意点を押さえられていない場合、適切な効果が得られないことやトラブルに繋がる可能性もあるため、次の項目で紹介する注意点を参考にしてみてください。
リファレンスを理由に内定を取り消せない
リファレンスチェックを実施する際の重要な注意点の1つは、リファレンスを理由に内定を取り消すことは原則としてできないということです。
内定は労働契約にあたるため、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合は違法になります。リファレンスチェックの結果のみで内定を取り消すことは、法的な問題を引き起こす可能性があるため注意しましょう。
求職者から拒否される可能性がある
リファレンスチェックに強制力はありません。求職者がそのプロセスを拒否する可能性があることを考慮し、リファレンスチェックに臨みましょう。
過去の職場での評価や人間関係に関する情報が外部に漏れることを懸念する求職者も多く、これがリファレンスチェックの実施に対する抵抗感を生む要因となります。
求職者がリファレンスチェックを拒否する場合、企業側はその理由を理解し、適切に対応することが求められるでしょう。
返答内容に偏りが生じやすい
リファレンスチェックを実施する際には、回答内容に偏りが生じる可能性があることを理解しておきましょう。推薦者は候補者との関係性や自身の経験に基づいて意見を述べるため、主観的な見解が強く反映される傾向にあります。
特に、推薦者が候補者に対して好意的な感情を持っている場合、実際の業務パフォーマンスや人柄について過度に良い評価をすることがあるため注意が必要です。
また逆にネガティブな意見が強調されることもあり、これが候補者の評価に不当な影響を与えることも考えられます。
得られた情報の解釈で意見が分かれる
リファレンスチェックを通じて得られた情報は、必ずしも明確な評価を示すものではありません。推薦者の主観や経験に基づくため、同じ情報でも異なる解釈が生じることがあります。
例えば、ある候補者の業務遂行能力についての評価が、推薦者によって高く評価される場合もあれば、逆に低く評価されることもあるでしょう。このような意見の相違は、採用担当者が最終的な判断を下す際に混乱を招く要因となります。
そのため、リファレンスチェックの結果を鵜呑みにするのではなく、他の選考プロセスと併せて総合的に判断することが重要です。
求職者の同意を得る必要がある
リファレンスチェックを実施するには、必ず求職者からの同意を得る必要があります。これは、プライバシーの保護や個人情報の取り扱いに関する法律に基づくものであり、求職者の信頼を得るためにも欠かせません。
具体的には、リファレンスチェックを行う旨を事前に説明し、推薦者に連絡を取ることについての同意を文書または口頭で確認する必要があります。このプロセスを怠ると、求職者との信頼関係が損なわれるだけでなく、法的な問題を引き起こす可能性もあるでしょう。
リファレンスチェックに関する法律
リファレンスチェックを行う際には、個人情報保護法に基づく規制を遵守する必要があります。この法律は個人情報の収集や利用、提供に関するルールを定めており、求職者の同意なしにその情報を第三者に提供することはできません。
したがって、前述したとおりリファレンスチェックを実施する前に、必ず求職者からの明示的な同意を得ることが求められます。
また、リファレンスチェックの内容が不適切であったり、誤解を招くような情報が含まれていた場合、企業は法的責任を問われる可能性があるので注意しましょう。
個人情報保護法に触れるリファレンスチェックは、信頼性や評判が損なわれることも考えられます。
まとめ
リファレンスチェックは、候補者の過去の勤務状況や人物像、業務実績を確認することで採用のミスマッチを防ぎ、より適切な人材を選ぶことが可能になります。
また、リファレンスチェックを実施すれば企業のコーポレートガバナンスを強化し、入社後のスムーズな支援にも繋がるでしょう。
リファレンスチェックの実施方法や注意点を理解し、ぜひリファレンスチェックを取り入れてみてください。
参考: リファラル採用のデメリットは?採用を行う際の注意点と成功のための対策法 | ジールコミュニケーションズ HR事業サービスサイト
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